<詩「あるなんでもない日」、「白き神の抱擁」、「婚礼」、「カフェ」「君の来る日」、「山城合戦」、「冬.../タカンタ、ゴロキ、そしてパウロ
 
「婚礼」

岸辺から聴こえてくる
水音が、鶯の声が
ぼくの川で

森の上で風がわたり、足音がすると
ひとりの女性が降りてきた

爽やかで澄み切った顔に光が映え
緑の群れが彼女を祝福するように萌えている

川に揺れる水草の緑の流れと煌きが
彼女の黒髪に嫋やかな模様を作りだす

そのひとの婚礼は間近だ

ぼくは不思議な光景を見ると
緩やかな記憶の流れをくだり
小暗い叢に横たわって
愛すべきその影に聞き耳を立てた

彼女は水を手に汲み、それを飲むと眼を閉じて伸びをする

森の虫たちが風の鐘を鳴らし
夢の中のように飛び始めた

「カフェ」

木立が
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