<詩「あるなんでもない日」、「白き神の抱擁」、「婚礼」、「カフェ」「君の来る日」、「山城合戦」、「冬.../タカンタ、ゴロキ、そしてパウロ
 
。こざっぱりとした外套に身を包んだひとたちが小道に群がっていた。あたしたち
は、さらに歩いていった。すると、眼の前にスケート場がひらけ、滑っている人たちの姿が見えた。
素晴らしい氷。銀盤は広く、あたしたちがいつも行く凍りついた湖とは比較にならなかった。あたし
は歓喜と緊張から足がふるえた。「まあ、すばらしいスケーターさんたち、どうしたの、滑りましょ
う」。彼女は長い足を上げて氷面をひと蹴りすると銀盤のまんなかに向かって滑ってゆき、真っ直ぐ
にもどってくると、誘うような微笑みを浮かべてうなずき、あたしたちに手を大きくひらいた。あた
したちは、幸恵さんの後についてスケート靴を進めた。彼女は
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