<詩「あるなんでもない日」、「白き神の抱擁」、「婚礼」、「カフェ」「君の来る日」、「山城合戦」、「冬.../タカンタ、ゴロキ、そしてパウロ
 
や雪に白く覆われた店の屋根が動き始め、あたしたちを未だ知らぬ空間へと連
れ去ってゆく。道を人、ひとの群れが大股で進んでいくにつれて、あたしたちの後ろに退いていく。
道を歩く人の顔始め蒼白かった。娘の手を引いた母親は丸い体を茶色の毛皮外套に包んで僧侶のよう
に見えた。小さな男の子と女の子が手を繋いで歩いているのを見てあたしは微笑み、それは、あたし
に幸せな時間の訪れを感じさせた。

 あたしたちの眼の前に大きなまるい形をした白い寺院のような建物が見えた。「着いたわよ」幸恵
さんが笑みを浮かべながら振り向いて言った。あたしたちは車を降り、小道をスケート場の方に向か
って歩いていった。こ
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