<詩「あるなんでもない日」、「白き神の抱擁」、「婚礼」、「カフェ」「君の来る日」、「山城合戦」、「冬.../タカンタ、ゴロキ、そしてパウロ
 
月の最後の風景として思い出す。この先に待っているであろう悲
しい出来事が雪の無垢と純粋さによって浄められるかもしれない。そしてあたしたちはスケート場で
幸せな時間を過ごすのだ。雪は夢の中でのように降り続き、あたしの吐く息で車の窓が白く曇った。

 幸恵さんの洗練された身のこなしと愛を語りかけるような話し方が、あたしに彼女への尊敬の念を
いだかせた。

 車が街に入った。
 眼の前に大きな時計台が見えた。雪にうっすらと覆われた時計の文字盤は希望と喜びの白い顔をあ
たしたちに向けていた。その針はゆっくりと時を進め、あたしたちに新しい世界を始動させるだろう。
道の両端の灰色の建物や雪
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