小学生日記「下から燃える」/瓜田タカヤ
 
回冷静に言うことも出来ただろう。

オレは少し緊張して通りへ出た。
生ぬるい海風が青森の藤田組通りを抜ける。
相馬町から流れ込む干した魚の匂いが
オレの脳を軽く揺する。

「おもむろに」という言葉をもっとも体現している挙動で
まずはエロ自動販売機まで歩いた。

そして通り過ぎざまに100円をカチャリと流し込む。
更に何食わぬ顔で10メートルほど歩いてから
完全に、おもむろにUターンする。

そしてもう100円をポケットから取り出し、
右手の親指と人差し指に軽く挟み込んだ。

最後の作業だ。金を入れる投入口、
闇銀色の縦線とオレの手で挟み込んだ100円の座標が重な
[次のページ]
戻る   Point(10)