トゥルー・ソニック/竜門勇気
 
一粒も音をこぼさないように
僕は車を這い出した
明かりと逆の方へ這い寄った
すぐに自分の体がどうなってるかわかった
あちこち破けて血が抜けていく
うまく動かせるところなんて
ただ一つもなかった
笑えと言われて笑えないみたいに
やりたいことは一つもできなかった
闇はまた少し深くなる

シダとかウルイとか
僕が好きだった草が生えてたんだ
見えなかったけど
ノビルも生えてたよ
匂いでわかった
僕は見えなかった
なんて幸福なんだ
見えないことは幸福だったのか?
そんなものしか幸福は姿を現せないのか?
闇はまた少し深くなる

そして見えたんだ
どこまでも続く青い
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