旧作アーカイブ4(二〇一六年三月)/石村
てゐるけど
一緒にゐられないなんて 嫌だわ)
(ずつと探してゐる あの時から)
(ねえ あれからどこに行ったの
何をしてゐるの)
(僕はどこに行つたつけか……
覚えてないんだ 何も
今ここで 人間でゐる それしか
もう 僕には わからない)
(人間? ――馬鹿ねえ
馬鹿だわ 人間なんて
かなしいだけなのに
もう私 人間なんてならないわ
馬鹿ねえ――――― )
?
日は暮れようとしてゐた。遥か野の彼方に最初の星が見えた。
僕は笑つてみようとしたが、笑へなかつた。
あすこまで行かうとしたが、行けなかつた。
星はも
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