旧作アーカイブ4(二〇一六年三月)/石村
やがてお前は 忘れられるだらう
願ひは 美しいものだつた
優しいものだつた
昨日のものだつた
そして永遠へと かへつていつた
僕らの今は 切なくここにある
神々がゐなくなつた日
生誕と滅びへの 時は歩み始めた
振りかへることなく
それが 僕らが得た 罪だつた いつか
喪はれると知つてゐながら ひとを想ふことは ――
やがて僕は 忘れられるだらう
やがてお前は 忘れられるだらう
僕らの鳥は かへつてこない
きらきらと 水晶青の風さやかに
死に行くものの世界を あとにして
聖らかな軌跡を 描きながら
かなたの空へ
永遠の昨日へ
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