九分九厘、最終出口/ホロウ・シカエルボク
、ああ、血よ、行き場ない思いの先でこそそれは美しいのに
ダンスパーティーでお金を盗んだよね
ピザがどうしても食べたかったんだよね
財布の中を丁寧に調べればそれだけのお金はあったはずなのに
どうしてもそれを失いたくなかったんだよね
誰かの隙を窺うことだけは得意だった
そういうことばかりして生きていたからだよね
でもそのあとひどくお腹を壊したって聞いたよ、なにかのバチだなんて考えもしなかったんだろうね
年老いたタクシードライバーのハンドルは山ほどの話を抱えているのにろくに言葉も知らないことにイラついているみたいに見える、そんなハンドルを握りながら彼は何度かこちらに行先を確認
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