I Know I`m Losing You/ホロウ・シカエルボク
う聞こえないだろうから、子供をあやすように頭をぽんぽんと叩いた。そしてそれから掘ったばかりの穴の中にまっすぐおさめて、ちょっとずつ穴を埋め戻した。余った土は均して、そこに穴が掘られていたことなどまったくわからない状態にした。道具を片付けて玄関に戻り、ようやくレインコートと長靴を脱いで、洗面で丁寧に手を洗って紅茶を入れた。リビングの柔らかな座椅子に身体を預けて、窓越しに自分の仕事ぶりを眺めた。初めての時に比べたらずいぶん上手くなった。かかる時間だって半分くらいで終わらせることが出来るようになった。簡単なことなのに、上手くやるには何度も何度も繰り返さなければいけなかった。思えば最初のころは、いろいろな
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