I Know I`m Losing You/ホロウ・シカエルボク
 
っと聴きごたえがある…いつものようにそんなことを考えながら、わたしは新しい穴を掘り終えた。紅茶でも入れて一息つきたかったけれど、この格好では一息つくのは逆に億劫だ。そばに転がしておいた生首を拾い上げて、最後にまじまじと眺めた。いわゆるイケメンだった、名前すら記憶する暇もなかった男。いまは白目を向いて、だらしなく開いた口から舌の先端をはみ出させている。人間は死ぬとみんな同じ顔になる。心が無くなってしまうせいかもしれない。それがどこにあるものかなんてわたしにはわからないけれど、こうしたことを何度も繰り返していると、そういうものが確かに人間の中にはあるのだということはわかる。さようなら、と言ってももう聞
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