旧作アーカイブ3(二〇一六年二月)/石村
あはせな歌へ
夢からきたものへ
野の道はひらけてゆくと
雨はいつまでも降りつづく 心の中を
こんな優しいものが どこからきたのか
どこへつづくのか――そんなこと私が知るもんか
ただ野のいちめんに
黄色い花々と
触れる滴の 嬉しさうな声と
パラソルさして 君は行く
私はいつまでも 見てゐられる
かろく淡い 雨の滴と 君のしめやかな歩みと
外は好いお天気ださう――そんなこと私が知るもんか
ただひとびとの 親しげな
古い神々の面影に なつかしく
この こころよい ひと時は通ふだらうと
とこしへに まどかな滴の
この春の雨と
{引用=(二〇一六年
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