旧作アーカイブ3(二〇一六年二月)/石村
 
消えよ 古き望みよ
定めのみに憑かれた ひとびとに告げよ
智慧の言葉は絶えた
滅びよ 生誕の季節が来る

おさらば 地上よ 愚か者の土よ
おさらば 遠くへ投げよ その肉は

笑へ この自由! すでに私は 何ものでもない 
偏在する 星を焦がす この鋭利なひと筋の光

しづかなる海 澄んだ忘却
真青(まあを)に染まる 吾が捨てし現身(うつそみ)
海より得しものを 海へとかへし
戻れよ 果てなき無へ 果てなき有へ

歌は尽きた 今ははや 真澄なる響きのみ
空を見下ろせ つよく降ろせ この清かなる群青の火を 
そは無なるか? 有なるか?
たれ知らん そは
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