旧作アーカイブ3(二〇一六年二月)/石村
 
した せいせいした
 何もなくなつて 忘れたことさへ忘れ

 また どこかに生まれ 愚かな命を 生きる
 悲しむことなど さほどありもしないのに
 どうしてこんなに 悲しいのかと いぶかりながら

風は終日 吹いてゐる
骨がからから 鳴つてゐる

誰かが僕を 呼んでゐる
みじかい笛を 吹いてゐる

ああ 笛がきこえる きこえるよう
僕 もう行かなきや もう行くよ

さよなら

さよなら


(二〇一六年二月十一日)




  群青


高く駆けよ
直き青き光の子らよ
ひと筋に翔べ
清(すが)しきみたまよ

散り消え
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