家族は唐揚げ/石村
 

何を詩にするのか
これほど響く言葉
身に染み 胸に迫る言葉が
詩にならぬといふ法はない

そこで俺はこころみた
「家族は唐揚げ」を
一篇のみごとな詩と仕上げ
この不朽の一句が
未来永劫 人類の脳裏に
刻まれんことを期して

まづ俺は 心の中で
大鍋を火にかけ
いくたりかの家族に 唐揚げ粉をまぶし
180℃に熱した たつぷりの油で
からりと揚げてみた

うむ

どうもこいつは
あまり詩的な光景ではない やうだ

つまりこれは
文字通り字義通りの言葉ではない
叙事叙景ではだめなのだ

ならばこれはどうだ

「家族は唐揚げ
 ハサミはペンギ
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