吠える犬は繋がれるか処分されるものなのに/ホロウ・シカエルボク
 
とか?でも彼以外の場所からそのことを理解するのはとても難しいだろうことは想像に難しくなかった、ブランコの下の少年よりもおそらく彼の方が楽だろうと思えるのはきっと、すべてのことにおいて彼は無自覚でしかないだろうという認識のせいだ、自転車をこいで川沿いの住宅街をのんびり走っていると、ある家の前で喚いている中年の女が居た、「あなたが玄関チャイムを交換したのはあなたの勝手であって、それで押すな鳴らすなというのはおかしなことでしょう?」延々とそう喚いていた―すこしもおかしなことではない、と俺は思った、彼女とその家の住人との間でどんなことが起こったのか俺には知るすべもなかったが、おそらくはいまその家の玄関で喚
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