のつのつと雪が降る/ぽりせつ
 
を単純にするのは気持ちいいでしょう?
 
おまえの手 ずいぶんと冷たいんだな 

病棟の屋根からつららが融け落ちる
光の落ちてくる音 いやな音
いいって言うまでって言ったのに
手のひらの仄あたたかさを手袋にしまう これが
あくびや あの欲情や 染めそこねた白髪となって いずれ灰となって

あなたはおどけて 誰かの古い詩みたいに
ひとつまみの雪を口に含む
意外と汚いのよ、こんな田舎でも
鬱陶しくなったぽんちょを脱ぎながら 記憶の中の煙突を一瞥する

今日分のくすりを一度にすませたんだよ

なにもかもが予感を孕んでいた
それが冬と 冬に生まれるものの美しさだった

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