のつのつと雪が降る/ぽりせつ
を単純にするのは気持ちいいでしょう?
おまえの手 ずいぶんと冷たいんだな
病棟の屋根からつららが融け落ちる
光の落ちてくる音 いやな音
いいって言うまでって言ったのに
手のひらの仄あたたかさを手袋にしまう これが
あくびや あの欲情や 染めそこねた白髪となって いずれ灰となって
あなたはおどけて 誰かの古い詩みたいに
ひとつまみの雪を口に含む
意外と汚いのよ、こんな田舎でも
鬱陶しくなったぽんちょを脱ぎながら 記憶の中の煙突を一瞥する
今日分のくすりを一度にすませたんだよ
なにもかもが予感を孕んでいた
それが冬と 冬に生まれるものの美しさだった
[次のページ]
戻る 編 削 Point(5)