のつのつと雪が降る/ぽりせつ
 

銀の砂塵に吹かれるモミの木も
謙虚な雪明かりも
つららだったものたちも
手のひらの温かさも
雪をつまんだ跡も そして
あなたの珍しい弱音さえも

のつのつと雪が降る
一本のモミによって辛うじてこの世とわかる風景
冬至の果てしない沈黙といっしょに
空が少しずつ崩れてくる
血の滲みだす包帯の一瞬の純白に 私たちは生きている

やがて凍えるような夜
叫び出すに足りる雑踏は
もうどこにもない
白はあらゆる弔いの色だ

戻る   Point(5)