のつのつと雪が降る/
ぽりせつ
銀の砂塵に吹かれるモミの木も
謙虚な雪明かりも
つららだったものたちも
手のひらの温かさも
雪をつまんだ跡も そして
あなたの珍しい弱音さえも
のつのつと雪が降る
一本のモミによって辛うじてこの世とわかる風景
冬至の果てしない沈黙といっしょに
空が少しずつ崩れてくる
血の滲みだす包帯の一瞬の純白に 私たちは生きている
やがて凍えるような夜
叫び出すに足りる雑踏は
もうどこにもない
白はあらゆる弔いの色だ
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