浮/後期
 
るのが
手に取るように、頭に入ってくる
そして、ぼくは、いったい、何者なのかと
呻いている端役が、どうやら、わたしらしい
昨晩の記憶が、そうだと云っているのだから

窓の外でも、ビルが吹き出した
街に風が生い茂り、空が淑女のように股を開く
わたしは、深々と椅子に腰を沈めると
抜いたペンをまた刺した
そして、腕のようなものを握った
それは、主役の一部だった
ぼくが、何者か、薄っすらと解明され始めたころ
何処からか主役が登場し、棒のように
わたしを、乱暴に拾い上げる
うずくまった男たちが、安堵する瞬間だ
主役の美しい動作の連続は
遠く、夢の外へ、わたしを投げ捨てるフォ
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