浮/後期
 
ている
それらを音にした耳が、目の中で
あっけなく立ち去ってゆく

見覚えのない住人こそ、血縁におもえて
わたしは、彼らの正面に立とうと
執拗に脚を、胴体から切り離し
右往左往して時間の中に浮いている
正面は、絶えず揺れ動き、定まることを教えない
わたしの胴体は、浮遊し続け
開こうとしては、思い止まる口が
喉の奥まで乾き切って
音を手にする道筋を
奪い去られたいま
手や首を中空に繰り出し、曲げ伸ばしては
定着させようと
動作は、涙さえ流している

うずくまった男が、数人
後悔や懺悔の、薄暗い右側の場面で
心細く謝罪を、繰り返し
繰り返し
繰り返しているの
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