秘法(第一巻)ほか九篇/石村
符です
いろんなことが
思ひ出されます
さよならあ と云つて
その子は落ちていきました
かへりおくれた鳥のやうに
おぼえてゐますか
もう
冬です
(二〇一八年十二月四日)
太陽の塔
退屈で残酷な世界は
知らないうちにほろびてゐた
神さまは
人間をこさへたことさえわすれてゐた
太陽の塔をみあげて
「よくできてゐるな」と感心し
二百五十六万年ぶりの定期巡回を
終へたのだつた
(二〇一八年十二月五日)
冬の室内
ふりつむ雪を温める
優しい姉妹の{
[次のページ]
戻る 編 削 Point(18)