なんなんだろうな/ゆるこ
目を瞑る。
こころの中を歩く。
記憶を辿る。
テレビの音が遠くなる。
やかんで沸騰されたお湯の熱気、
手に持つひんやりとした発泡酒の温度がだんだんと消えてゆく。
視界の中。
真っ暗だ。
こころの中、なにも見えない。
子供の頃、わたしは空想がとても好きだった。
青空に浮かぶ城を描いたり、
歩く土をマグマにしたり、
街路樹に色付けをし、喋らせたり、
わたし自身を魔法使いにさせたこともある。
それは全てわたしのこころを激しく動かし、高揚させ、色づかせた。
その時こころのには確かにわたしが作ったものたちが、ひしめき、ささやき合い、時に笑い声を上げながら、「生活
[次のページ]
戻る 編 削 Point(4)