したいのそばに咲くハな 捨て息 それは赤い/狩心
 

水面の波紋を翼のように何度も広げて
存在しない岸辺に振動を届けようと
必死で
漕いでいる
それらが
何かを脅かすとしても
渡しの心はそれらを無視して
純粋に生きることを叫ぶ
単一の
オールが
胸の中の筋肉をほじくり回し
渦巻きの苦痛を
エンジンとして
首の無い渡しは
深遠の黒の中を
時間軸をも無視して
突き進む

細胞の
中に弾ける渡しの
過去の恋人たちが
さよなら さよなら と言い
異化されていく
もうここは未来で
過去に戻る必要は無かった
確実に何かが変わっていた
そう、
もう、
快楽にも希望にも安らぎにも支配されることなく
正しさ
[次のページ]
戻る   Point(2)