飛ぶ夢など見なくてもいい/ホロウ・シカエルボク
 
いけど、音楽ではなかった、それに友達たちは、そんなに歌が上手くなかった―そんなことばかりだったのだ、それがどうだろう、真夜中の山道を歩きながら、私は冒険者のようにウキウキしていた、低く垂れた枝の下を潜るときなんかは、虫が潜んでいたらどうしようなんてハラハラもしたけれど…気づくとほとんど県境と言えるような場所まで歩いて来ていた、おや―?道の先からヘッドライトがやって来る、昼間でもこんな道を走る人などあまり居ないのに…見ているとさっきのプリウスだった、プリウスは私の正面に止まり、エンジンをかけたまま若い男が下りてきた、やっぱり、と高く枯れた声で叫びながら―「幽霊じゃなかったんだ」生きてます、と私は調子
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