ただ赤く塗り潰して/ホロウ・シカエルボク
なんてべつに珍しいことでもなんでもなかった、どのみちいつかはそいつが目の前に突きつけられるのだ、それはもしかしたら固く結ばれた箱の中身と同じ意味をこちらに投げかけているのかもしれない、生だけへの思いで生き抜くことなど絶対に出来はしないだろう、それが判っているから言葉は勝手にどこかへ逃れようと溢れ出してくるのだろう、詩人が綺麗な心でどうするよ、それは魂の奇形なんだ、後ろに隠しているものをこちらに差し出してみろ、愛を乞うために手の込んだ嘘をつくのか、偽りの熱意が手に入れるものはやはり偽りでしかないはずだ、すべてを語るための道具で一番底に在るものを押し隠そうとするなんてとんだ間抜けだ、愚行の果てに聞こえ
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