あなたの居なくなった世界に/ホロウ・シカエルボク
 

裏庭に面した窓
居眠りをすると溺れてしまいそうな
大きくて深い浴槽


二階にはわたしと弟の部屋があり
午後になるとわたしはその部屋を出て
屋根裏部屋で詩を書いたものだった
跳ね上げ窓を開けて餌を撒いておくと
雀らがやって来てそれを啄んだ
必ず陽だまりだったあの窓
そこに居ると
わたしは誰にも気づかれることはなかった


そんなに遠いことではないはずだった
取り戻せないものではなかったはずなのに
すべては現在でないもののために作り替えられた
無理矢理引き寄せようとすれば
根元からがらがらと崩れてしまうだろう


まだきっとそこで綴っているだろういつか
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