たぶんどちらでもいいことだけど/ホロウ・シカエルボク
 
自分が幼いことを知っている人間は、そのことをより嫌悪するものだ、俺は実績のない自信を持たない、それは今だってそうだ、なにも成しえていないのに、王者のような態度を取ったりしない、それはたとえばとても金を持っているとか、なにかの賞を取ったとか、仕事で出世したとか…そういう出来合いの枠に自分を嵌め込むような価値観とはまるで関係のない話だ、俺はいつだってそんなものとは会釈を交わす程度のつきあいしかしてこなかった、それ以上そこに求めるべきことはないと判っていたからだ、気取りや自惚れなどではない、それは俺にとって、本当にそれ以上なにもない場所なのだ、俺が社会に出て一番最初に覚えたのは、そういう場所との距離の取
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