たぶんどちらでもいいことだけど/ホロウ・シカエルボク
 
の取りかただった、そうしたもののなかにどっぷりと浸かって、自分をひとかどのものだと勘違いするような人生なら生きない方がマシだと思ったからだ、だから俺はいまでも挨拶以外のことは上手く出来ないままだ、すれちがう人間のなかにはそんな俺を馬鹿にするものもいるけれど、俺はお仕着せのイズムを鵜呑みにして生きていけるほど馬鹿ではない…もちろんじかにそんなことを言い返したりしない、連中が一番得意なのは中身のない水掛け論だからだ、信じるものが自分のなかから出てきたものではないから、盲目的にそれを主張するしかないわけだ―なんて、くだらない観察をしながら用事を済ませて、一時間ほど散策して家に帰ると、唐突に空が曇り始め、
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