陽炎/ホロウ・シカエルボク
 
もそれは少しも急ぐ必要のないことで、一日数時間ひとりで、あるいはふたりで世間話でもしながらやればいつの間にか終わっているというようなものだった、だから今日きみが休んだところで、「困るよ」なんてだれも言わなかったし、「出てこい」なんて強要されるようなこともまるでなかった、そのことはわかっていたけれどきみはもうすこしギリギリになるまでそのことについては考えないことにした、きみはまだおぼろげなメロディーを思い出すことに執着していたのだ、必死に考えているうちにきみは眠り込んでしまう、タイム・リミットまであと数十分というところで…目が覚めたときには昼過ぎだった、なにか長い長い、とてもリアルな質感のある夢を見
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