陽炎/ホロウ・シカエルボク
を見ていた、ここはどこなのだろうか、と目覚めてすぐにきみは戸惑った、そのために眠っていたときのすべての事柄は忘れ去られてしまった、なにかとても現実感のある夢を見ていた、そんな感触だけが全身の細胞に残っていた、その感触がきみをおかしくさせたのかもしれない、仕事場に連絡を入れておいたほうがいいことはわかっていたが、きみはそれをしないことにした、寝惚けていて、正しい判断が出来ていないのかもしれなかった、確かに、その時点ではそうかもしれなかった、きみは夏だというのに真っ黒いデニムパンツと、真っ黒長袖のシャツを着て外に出た、催眠術にかかったみたいなぼんやりとした様子だった、ホームセンターでハンマーを買った、
[次のページ]
戻る 編 削 Point(1)