いったいどうしてこんなことを思い出したりするのかね/ホロウ・シカエルボク
だ、それは三分の一、あるいは半分が失われた現象だ、ボタン一つで手に入るものなんておれは信用しない、広い、なにもない公園に腰を下ろして歩き過ぎた足を休ませる、石畳の、なにもない公園、昔、もう結構な昔、この広い公園の真ん中には噴水があって、鬱蒼とした木が生えていた、その木々の間を縫うように狭い歩道が通っていて、北側の片隅には鳩舎があり、いつ見ても忙し気な連中が羽をバタバタ言わせたり何事か喋り続けたりしていた、「治安上の理由から」そんなちょっとした森は撤去され、あとには味気ない石畳の広場が残った、あの木々たちは今頃どこでどうしているのだろう、おれは時々そう考えることがある、プールほども大きかった噴水の残
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