いったいどうしてこんなことを思い出したりするのかね/ホロウ・シカエルボク
まう、それはまともなことではない、でも、意識してしまったらおしまいなのかもしれない、昔からそんな些細なことが引っかかるたちだった、おれ以外だれもそのことを知らなかった、そんなことがたくさんあった、下らないことをたくさん記憶していた、覚えている必要などあまりないようなものだった、どうしてそんなことを細かく思い出せるのか、何人もの人間にそう聞かれた、でも当然ながらそんなこと説明など出来っこない、「なんとなくかな、急に思い出すんだよ」と答えておしまいだった、相手はいつも少し怪訝な顔をしたが、でもどうでもいい出来事の記憶だったから、それ以上話が続くことはいつもなかった、そのくせ、他人の顔を覚えるのは苦手だ
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