いったいどうしてこんなことを思い出したりするのかね/ホロウ・シカエルボク
まで違和感やダメージを残すわけではない、いい加減履き潰した靴底の感触が頼りない、きっと今年か来年中には履けなくなってしまうに違いない、おれはあまり靴を買わない、二、三足の靴を数年履き潰して、壊れたら買う、メーカーの名前や、形状の名前などほとんど知らない、スニーカーとか、そんな程度でしか判らない、あまりに暑過ぎてあっという間に汗が滲み始める、汗をかくのはもう少し歩いてからにしたい、古臭い喫茶店に逃げ込む、アイス・コーヒーを飲む、防弾ガラスかと思うくらい分厚い大きな窓は光のみを通す、窓の外は爆発しているみたいに明るいのに、その熱は伝わってこない、一瞬おれは神経に異常をきたしたのか、と不安になってしまう
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