月も滴(したた)る/秋葉竹
 

月が満ちても、
暗闇を抜け出した
明るい夜であるはずであっても、

かたつむりが、
紫陽花の葉っぱに液をすりつける
雨の夜は、
けっして、月が見えないジレンマが
山頂より流れ来る白銀の真新しい水によって
とても綺麗に流されるのだろうか?

とても、心配になる。

月にかわって、
彼女はなにをしようとしていたのかしら?
まるで、うなされる悪夢に
毎夜、寝言を言わされるみたいな
「おしおき」、って言ってたかしら?

汗の一滴もみせずに
涼しい顔して、左うちわで、
(意味は、違って、ただうちわを扇ぐだけ)
人は、平気で嘘をつける自由なんて持たないよ、

[次のページ]
戻る   Point(5)