ラストマン・スタンディング(或いは暴いた繭の中の)/ホロウ・シカエルボク
発しながら生きて動いているみたいだった、ソウル・サバイバー―なんて、六十年代のロックンロールの幻影から逃れられないロートルならそんな風に言うだろう、でも俺はそんな言い回しにはもう興味はなかった、つけっぱなしのエアコンと同じで無意味に発し続けなければ認識してもらえないような概念になんて…シャツの下で汗が少し滲み始めている、だけど、完全に汗を遮断してしまうよりはそんなくらいで居るのがいい、自分が汗をかく生きものだと認識していられる状況でなければ、もしかしたら恒温動物であることすら忘れてしまうかもしれない、野性を忘れ、生殖を忘れ、肉を食らうことを忘れ、肉体の感覚すらも忘れてしまったらそれはもう動物とは違
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