小舟までの距離感/瓜田タカヤ
 
ってくると
昔行ったことがある寿司屋のお兄ちゃんが母と二人でいた。
親父はいなかった。

寿司屋のお兄ちゃんは、俺の家のテーブルカウンターを使って
寿司ネタを並べてくれて、俺が「これ」と指さすと
それを握ってくれた。
小学校低学年の俺にとっては無邪気なお寿司屋さんごっこであった。

何日かして、参観日の帰り道、母と魚菜センター通りを出た頃、
母が質問した。
「パパとママが別れたらどう思う?」と
俺は小学生で、意味が分からなかったから、もしくは
意味を知りたくなかったのかもしれない。
「別にいいんじゃない」みたいなことを笑顔で言った記憶がある。

海沿いの公園がある。
[次のページ]
戻る   Point(13)