草の歌 ?/flygande
n)、疹(shin)、天(ten)――文字は橋から浮き剥がれ。やがて来る雨は豊かな構文を湛え。
くさきりはら橋、堰に沈む。紫陽花、風に膨らむ蜘蛛の巣、ブロンズの牛、観測者、ことごとく水の底で言葉を失う。水面は鏡となり、真昼の銀河を映し出した。空では映せない鳥が水の影を飛行し、水では映せない魚が空の向こうへ泳いでいく。送電塔のてっぺんに腰掛け、閻魔は遠くの山を見遣る。呼びかけても声はなく、問いかけても応えはなく、断じても抗うことをしないから、みずすましと肩を抱き合い、溶けないバターをいつまでも舐めている。堰内に遺物を捨てた者は五年以下の懲役もしくは千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。古
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