草の歌 ?/flygande
。古びた法律は挽歌のように、人を守らず、人を裁かず、人のかたちをただ悼む。切なさに目を瞑れば、天から無数の廃棄物が剥落し、新しい酒瓶、砕かれた位牌、灰色インキのカートリッジ、静かに、あるいは音もなく、飛行船の残骸、発火する電子レンジ、色とりどりの宝石のように降り注いでは、深く沈められるための罰を探して息を吐く。
くさきりはら橋、陰を貸す。借料には利子が付き、かならず花を添えて返さねばならない。橋の下には蝶が休み、蛇が休み、人が休み、機械が休んだ。打ち捨てられた車の空席には医者が座り、橋の裏側を見上げてはすこし眠る。天国は過去を置き去りにし、地獄は過去を慰めた。だから病はもう探さない。骨髄に忍
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