時の果実をかじる夜/まーつん
時は贈り物だ
どんなに惨めで
苦しい時であっても
なにやら知った風な顔をして
そう言い切るのは、
愚かなのかもしれないが
小さな無人島に立って
ヤシによく似た一本の木から
毎夕ぽとりと落ちてくる
果実を受け取る
そうしたら
砂の上にあぐらをかき
果実の殻に石の角を打ち付け
パカリと割る
溢れ出てくるのは
ピカリピカリと波打つ
時間のジュースだ
熱くなく冷えてもいない
生ぬるい果汁が
口の端から顎を伝う
ほろ苦い美味さだ
人生と同じように
笑ってしまう程
月並みな解釈だが
本当だから仕方がない
私にとって、
一人
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