静寂がまた暗い口を開ける/ホロウ・シカエルボク
のようだった、衣服は細かく切り刻まれ、紙吹雪のように周辺に散らばっていた、ブラのワイヤーまでもが丁寧に切り刻まれていた、剥き出しになったふたつの性器の先端はスポイトかなにかで少しずつ劇薬を落としたように、取り返しのつかない病の予兆のような黒点のように焼かれていた、第一発見者はチワワを散歩させていた八〇過ぎの老婆で、あまりのことに息も絶え絶えになり、やっとのことで警察に連絡をしたのち、息を整えようともたれた木のそばでそのままこと切れてしまっていた、それも詮無いことで、のちに駆け付けた事件慣れした警官の数人でさえ、そこらの木の根元に吐いてしまったほどのものだったのだ、まだ寒い時期で、腐敗していなかった
[次のページ]
戻る 編 削 Point(1)