ロボウティー「天動説の子ども」について/田代深子
品においてのつながりの悪さは違和感を狙ってのこととも思えないので、たんに運び方がよくないだけなのだと言えるだろう。とりあえず、なぜ天動説でなければならないのか、それが理屈でなくするりと得心できるようにしてほしい。これはいい言葉なのである。
さて、こうまで苦言を呈してから言うのもなんだが、この作品は悪い作品ではありえない。なにしろ題材が特別で、場面がいい。「母の死」を扱うとき、真摯にならざるをえないのは当然であろうが、その真摯さのみが伝わってくる。
だが、作品を書く、「母の死」を作品にし他人の目に晒す、という行為に際し、持つべき真摯さはもっと冷厳なものとならねば、題材に見合う作品は生まれ
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