『春と修羅』を読んで/たこ
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某年四月九日。宮沢賢治の『春と修羅』を読了。そのシナスタジア的光の描写に圧倒され、拙筆に忸怩たる思い、悶々とす。あいつは修羅かも知れないが、俺だって一人の修羅だ。以下、帰宅の途についた俺の一詩人としての心象の唄を備忘録的に素描する。
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ちぎれた雲が騒ぎ立てる
宵の暗がりの上澄みを
韋駄天が 飛び去るように駆け抜ける
その様子は あたかもまるで
砕け落ちる光の底で
歯ぎしりしていた 一人の修羅が
天に昇って 姿を変えて
再び 舞い戻ったよう
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