ウサギ狩り/山人
いる
僅かな風でそれがふわりと落下する
息が荒くなり汗がにじむ
雪の斜面にウサギの足跡がある
ウサギは夜行性だから今頃は何処かの木の袂に潜んでいる筈だ
時々足を停め意味もなく周りを見る
猟中に無意識に周りを観察する癖だ
ウサギの足跡が途切れている
(カムフラージュ痕)
きっとあの辺にいるのだ
銃に装弾を込め少しづつ近づく
ウサギがいつ出るのか、どう出るのか
張り詰めた空気を手繰り寄せる
ウサギはダッシュする
呼吸を止め照星を合わせる
銃を振る、本能で冷ややかに引く、雪山に銃声が響く
走りながらパタリと落ちる、動かなくなる
ウサギは血を吹き出させ、断末魔に向かい
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