ワタナベさん「さそりの心臓」に見る「詩とその呼吸」に関する感想文/ベンジャミン
 
れています(一文の中にも感じられますが、それはさておき)。

冒頭の比較的長い一行目の切り出しから、2・3行目に移るごとに一文が短くなっています。それは、長い一文を読んだあとの呼吸を自然に整えてくれる、そして4・5行目ですが、ここはまとめて一文にしてもいいのに改行が施されているわけです。そこで改行されているからこそ、6行目以降にすんなり読み入ることができるんですよね。
こういった読むときの呼吸、その抑揚の在るリズムが、書かれている内容にある種の優しさのようなものを付加しているように感じられます。もちろんそれは優しさだけはでなく、書き手がどこに心情を強く注いでいるかということを、何となしに伝え
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