1・17/大覚アキラ
しれない、と思いながら、
何もできることがないのが悔しい、と歯噛みしながら、
結局は何もする気がなかったのだろうことを、ここで告白する。
親をなくし、子をなくし、友をなくし、家をなくし、職をなくし、
すべてを失った人たちの姿に涙を流しながら、
ぼくの家族や友人の無事を喜んでいたことを、ここで告白する。
こんな詩を書くことが弔いにも餞にもならないことを知りながら、
それでも何か意味があることかもしれないと思っている、
そんな自分に軽く嫌悪感を覚えていることを、ここで告白する。
それが、良いとか、悪いとか、そういうことじゃない。
そして、ぼんやりと歩いているうちに、商店街は
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