1・17/大覚アキラ
 
街は国道に突き当たり、
アーケードはそこで切り取られたかのように呆気なく終わっていた。
妙に閑散とした、しかし車だけがやたらとたくさん行き交う交差点で、
ぼくはいったい何のためにこの駅で電車を降り、
この商店街を歩いてみたのだろうと自問した。
何のためでもない。おそらく、何のためでもないのだ。
そして、ぼくはいったい何のために
この詩を書いているのだろうと自問した。
何のためでもない。きっと、何のためでもないのだ。
10年前のあの日、この街の何もかもがあっというまに燃え尽きて、
ぼくの人生もその部分だけが燃えてなくなってしまったように思える。
でも、失われた街並みを懐かしんで感傷的になったり、
傷ついた人たちに感情移入して涙をこぼしたりする、
そんな資格はきっとぼくにはない。

それが、良いとか、悪いとか、そういうことじゃない。
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