1・17/大覚アキラ
ったらしいが、
ぼくはぐっすり眠っていてまったく気付かなかった。
それが、良いとか、悪いとか、そういうことじゃない。
夜が明けて、電車が動いていないことを知り、
台風で学校が休みになった小学生のように、
ささやかな興奮を覚えたことを、ここで告白する。
細い路地裏に立ち並ぶ家々を焼き尽くす炎に
懸命に立ち向かう消防隊員の姿をテレビで見ながら、
まるで映画のようだと呟いたことを、ここで告白する。
倒壊した家屋の下敷きになった老人が、
近所の人たちの力で何とか助け出される姿を見て、
感動的な瞬間に立ち会った気分になったことを、ここで告白する。
何かできることがあるかもしれ
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