夕暮れの街を見下ろす/秋葉竹
 
蒼い陽炎が翔ぶ昼下がり、
短い影をアスファルトに刻印する蛇の、
唾液まみれの純白の牙は、
貴女のマシュマロの喉元を、
ぼくの命の軽さほどもない覚悟で、
食い破ろうとする残酷な牙だ。

それは、
好きな小説を買う程の躊躇(ためら)いもなく、
目覚まし時計を止めて二度寝するより容易く、
為されてしまう、尊い自傷行為に近い。

茜色の夕陽を浴びて翔ぶ赤蜻蛉の、
空中の一点で羽だけ動かし、
胴体は静止している姿の、
早く忘れなければならない長閑(のどか)さは、
絶望で基礎を固め、
見栄と欲望で建ち上げたビルの屋上から、
この街の夕暮れを見下ろす愚かさに近い。

罪は
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