若さという幻影/葉leaf
 
うことが多い。
 若さは美徳である一方で様々な欠点を持つ。だが多くの人たちは、大人として生きていくに従い、多量の教養と経験を獲得し、現実を直視することに慣れ、社会的な意識を獲得していく。そこには成熟した詩作品が成立する土壌が出来上がるのである。
 ところが、詩の世界では「若さという幻影」が根強く生きているように思われる。年老いてもなお前衛を気取り続ける詩人は多い。実験や修辞に囚われ続ける詩人も少なくない。「詩は若くなければならない」という強迫観念でもあるかのようである。それは失われた若さへの執着であるかもしれないし、気持ちを若く保っていないと美しい詩は書けないという思い込みゆえかもしれない。
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