羽音の思惑(かべのなかから)/ホロウ・シカエルボク
 
、それは永遠に鳴り続ける
巨大な音叉がひとつ振動した、その響きがずっと続いているようだ
その中央で立ち止まれば、もしかしたら死なずに済むかもしれない
トンネルの中で見るすべてはまぼろしだ
ほんの少しだけ進むのを躊躇ったのはきっと笑い話さ
出口が近付くにつれ、眩さが迫って来る
自分がそこに向かっているのに、眩さは迫って来るのだ
トンネルの出口で、あまりの光にしばらくの間目を閉じたままでいた
暗闇の中であまりにも長く長く、その成り立ちを見つめ過ぎたせいだ
路の両端から、刃物のようにすらりと伸びた薄緑の草が
ゲートのような屋根を路の上にこしらえている、誘う
設えられた路は、訪れるも
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